【中編】彼女様は甘い味。
「おー、…どいてどいてっ…と
とうちゃ~く!!」
人混みを押し退けて、奏音の目に見えていた真っ暗だった視界がパーっと一瞬で明るくなっていく。
その大きな瞳をパチクリさせて、
「…来ちゃいました、ね」
さっきに比べてもっと嫌そうな表情の奏音は、そう結衣に話しかけて、
「仕方ないわよ…、こういう恵は止められないもの…」
「っな!?
…そんなことないってばぁ!って!!キャーっ!!」
結衣に反論している途中、恵が突然叫び出したのを最初に周りから急に聞こえだした女の子たちの歓声。
いや、これは奇声だ、…と、奏音は思っていた。
「…やっばーい!!
やっぱDevilメンバーみんな格好良い、罪だー!!」
「まぁ、…確かに整った顔ね」
まさか結衣ちゃんまでそんなことを言うなんて…!
っていう表情で。
「…結衣ちゃんまで…っ」
そんな奏音の声は周りの奇声?によって揉消された。
『…えーと、今日は来てくれてありがとうっ
こんな可愛い子ばっかで俺も嬉しいよ?』
そんな彼の一言で周りの熱は更に上昇して、歓声は更に多く、大きく。
不貞腐れて下を向いていた奏音も思わずそのステージを見る。
するとライトアップされたステージに“4人”の男の子達が立っていた。
…確かに、結衣ちゃんが言うのも分かるのかもしれません。
みんな整った、綺麗な顔をしているし…。
口をぽっかりと開けて奏音はステージをぼんやりと眺めていた。