【中編】彼女様は甘い味。
「だけど…、マジックってなかなか出来るものじゃないわよ?」
あたしの手の平にあるアメに視線をズラしてニコッと笑う。
「そうですよね…、
大塚先輩は凄い人です!」
少しばかり興奮気味の奏音。
その手の中にあるアメの1つを手にとって包みを開け、口の中へ入れた。
イチゴの香りとミルクの味がとても美味しい…
「おいし…っ
…あ、結衣ちゃんも先輩もどうぞ?」
そのまま残りの2つを二人の前に差し出す。
「これは愁がお前にあげた物だろ?
…だからいらない」
無表情で先輩は言うと、隣にいた結衣ちゃんも『そういうこと』って言って笑ったので、
そのままアメはポケットの中へ。
「…奏音ちゃーん、」
するとステージから奏音を呼ぶ声がして、
「ちょっと来てー!」
またもや葛木先輩の声が聞こえて奏音はステージへパタパタと走っていく。
後ろの結衣は笑ってその後ろ姿を見つめていた。