【中編】彼女様は甘い味。
あたしの気持ちが電波になって伝わってしまったとか…?
まさか、こんなことがっ、
「小さい頃から見てるから…
…好きなの、」
「誰を…、ですか?」
一応、確認の為に。
「徹、くん。よ…?」
珍しく見る結衣ちゃんのほんのり赤い頬が、何だか無性に可愛く見えてしまう。
好き…、なんですかぁ…
「恋、ですね…」
何故かニヤニヤしながら『恋』という言葉を遠回しに連呼する奏音。
…経験が無いせいか、
こういう話題に慣れていないせいなのか知らないが、テンションが上がる。
とゆうか上がっているのが分かる。
「…そうねぇ、
奏音は?恋、…してる?」
結衣ちゃんに言われて、少し黙る。
アレ…?
今まで、いや…昔からずっと、
人のそういう話題は聞いてきたけど、自分がどうってことは無かったような気が、します…
…いいえっ、
もしかしたらあたしは…
「…奏音は、恋したことないものね」
っ!?
そうだ…、そうです!!
「…恋、
無いです、あたし…!」
目をパチクリさせて必死になる奏音を見て、結衣もクスッと笑ってしまう。
けど、結衣の表情はどこか涼しげ。
「でも近いうちに、奏音は誰かを好きになるわ…」