【中編】彼女様は甘い味。
「なら…、蓮、先輩ですか?…それとも蓮二先輩?」
ニッコリと笑いながら奏音はそう言うと、笑ってズイズイと蓮二に詰め寄る、というか…近寄る。
それに後ずさりしながら顔を少し赤くする蓮二。
「か、勝手にしろよ!んなこと…っ」
…あれれ、?
そのまま歩いて中に入って行ってしまった後姿を見て、一人首を傾げて困った表情をする奏音。
そうしたんでしょう…?
…それよりっ!
先輩をなんて呼ぶことにしましょうか、…うーん。
蓮二先輩じゃたくさんにそうですし、
あえて蓮先輩ってのもいいですね…。
「よーし…、蓮先輩に決めましたっ!」
ウーたんを持っていない方の手を握り拳にしてそう言うと、ベンチから勢い良く立ち上がる。
「…ふ〜ん、仲良しなんだぁ…?」
またもや後ろから声。
「誰ですかぁ…っ!?」
思い切り後ろを振り返って、…すぐに和らぐ奏音の表情。
「…まさか、蓮が自分からそんなこと言うとはねぇ…」
立ったままあたしを見下ろすようにしてそう言うと、
葛木先輩は少し歩きだして『練習、始まるよ〜』っと言った。
…?
「…分かり、ました…」
まだ花の匂いが惜しいな、なんていう想いも残しながら。中に入っていった。