【中編】彼女様は甘い味。
目を閉じて聴こえるのは、透き通った透明感のある先輩の声で、
…あぁ、
きっとみんなはこの声に魅力されてるんですね、
…普段は意地悪なことばかり言う先輩からは考えられないような。
甘い言葉のラブソング、
たまに聞こえてくるハスキーな声、
それら全ての、虜になってしまいそうになる。
…閉じていた目を開いて、
真っ直ぐに先輩を見つめる。
すると何だか、
胸の奥が熱くなって、もどかしい気持ちになって…
アレ…?
自分でも何だかおかしいのを感じる。
これは…、
甘いお菓子を食べた時とも違って、
可愛い洋服や小物を見たとき時とも違って、
ウーたんと一緒にいる時とも違って…
「…どう、したんでしょう…」
誰にも聞こえないような声でそう呟く。