【中編】彼女様は甘い味。
何でこんなにも、
胸の奥のモヤモヤが取れないんでしょうか…?
…どうしていいのか、分からなくて。
「…結衣ちゃん、
ちょっと、先に帰りますね…っ」
「…っ、奏音…!?」
そのまま急いで鞄を手にして、外に出る。
…とにかく、急いで、急いで。
校舎の中を走って、走って…
…走って、
「…っあ!!」
足元だけを見て走っていたあたしは、廊下で誰かにぶつかって転んでしまった。
…痛い、です、
「…っ、あ!
すいませんっ、本当に…」
そう言って上を見上げる。
…あ、
凄い…綺麗な子、です…。
しばらくその子に見とれたまま廊下にヘタリ込む。
「ううん…、大丈夫だから気にしないで?
…って、あ!
先輩だったんですか?」
その子はあたしの制服を見て急に敬語に変わる。
…先輩、?
あ、
「っ!
…中等部の、子ですか?」
未だに敬語癖が抜けない奏音。