【中編】彼女様は甘い味。




そもそも何でこんな事になってしまったのでしょうか…?


この方の言っている意味も、この方の行動の意味もまったく理解に困ります。



「…と、とりあえず、

手!…手を離して頂けたら嬉し…っ」


ニコッと笑ってそう言ってみたはものの、更に彼女の手があたしの首に…、食い込んできまして。


…表情は更に、

怖くなってきまして。



「アンタ、何なの?

…蓮二くんの何なのよ!?!?」


そう言うと、

その掴んでいた腕を離してあたしを思いきり怖い顔で見下ろす。



そしてズルズルと床にへたり込む、あたし。


「…何?とは…、何ですか?」


「つか!!…アンタの、その鞄なにっ?

しかもその人形みたいな顔、ムッカつくんだけどっ!!」


…それは遠まわしに言えば奏音を誉めているわけでして、そして更に遠まわしに言えば馬鹿にしているわけで。



それより、顔がムカつくって言葉。

昔からよく言われるような気がします…、はい。




「そんなこと、…言われてもっ」


「はぁ?…あ、時間だ…

あたしの話は、これで終わりなんかじゃないんだからねっ!?!?」


その後も『いい?忘れんじゃないわよっ!?』なんて何度も後ろを振り返りながら彼女は言って、この場を去って行った。




…そのままヘタリと座り込んだままのあたしは少しの間だけ廊下に取り残されてしまった。



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