【中編】彼女様は甘い味。




そんな気持ちを抑えつつ、平常心を保ってみる。



「…姫山先輩は?」


きた…っ。



「れ、蓮先輩は、別に…」

言葉を濁した。


明らかにこれは何かを隠していて、何かを…



「蓮先輩ねぇ…そんなに仲良いんだ」

笑ってそう言う隼人くんの顔が、どこか怖い。



そして、少しずつ近付いてくる隼人くん…




「何か、何かおかしいですよ…

…隼人くん、変です!」

隼人から逃げるようにベンチの端に動く奏音。



…どうした、んですか?


「…好きなんだろ?」


へ…っ、

好きって…、?



「ちょっ…、隼人く…「言えよ!」」

あたしの小さな声は、隼人くんの大きな怒鳴り声に消されて、


…気付けば震える、手。



こんなの…、

あたしの知ってる隼人くんじゃ、ありませんよ…、



いつだって隼人くんはあたしの味方で、虐められてたあたしを助けてくれて…

だからあたしは、


…だから、



「あたしの…、あたしの知ってる、…隼人くんじゃないです…っ」



< 60 / 189 >

この作品をシェア

pagetop