【中編】彼女様は甘い味。
そんな気持ちを抑えつつ、平常心を保ってみる。
「…姫山先輩は?」
きた…っ。
「れ、蓮先輩は、別に…」
言葉を濁した。
明らかにこれは何かを隠していて、何かを…
「蓮先輩ねぇ…そんなに仲良いんだ」
笑ってそう言う隼人くんの顔が、どこか怖い。
そして、少しずつ近付いてくる隼人くん…
「何か、何かおかしいですよ…
…隼人くん、変です!」
隼人から逃げるようにベンチの端に動く奏音。
…どうした、んですか?
「…好きなんだろ?」
へ…っ、
好きって…、?
「ちょっ…、隼人く…「言えよ!」」
あたしの小さな声は、隼人くんの大きな怒鳴り声に消されて、
…気付けば震える、手。
こんなの…、
あたしの知ってる隼人くんじゃ、ありませんよ…、
いつだって隼人くんはあたしの味方で、虐められてたあたしを助けてくれて…
だからあたしは、
…だから、
「あたしの…、あたしの知ってる、…隼人くんじゃないです…っ」