【中編】彼女様は甘い味。
不器用なお人
せっかくの文化祭をハチャメチャにしやがったあげく、その日に2回もぶっ倒れてわけ分かんない女。
…最初はただの変人だと思ってて、
けど、中身は結構色んなこと抱えたりしてたっぽくて…
趣味とか好きな物とかいまいち俺には理解出来ねぇし、よく分かんないけど。
アイツ等以外で興味持ったのは初めてだった。
どうぞこれ貰って下さいとか言って渡してきた…
『ウーたんシリーズのバットくんです!』
何がウーたんだよ…、アホか?
本当、わけ分かんねぇ。
携帯についたままの小さな人形のストラップを目の前にぶら下げてそんなことを考えてみた。
「…思いつかねぇ、」
次の曲の歌詞、まったく浮かばねぇわ…
新曲はもう出来上がってるけどもう一つ作って、それを今度のステージで披露するとか何だとか京也が言ってて。…けど、なぁ。
肝心の歌詞が思いつかないんじゃ、意味が無い。
…何か最近、心が乱れてる気がする。
と、言っても。
アイツが練習に来なくなって一週間が過ぎた、何故かよく分かんないけどこの一週間は苛々しっぱなし。
…別にアイツは関係ないだろうけど、さ?
机の上に広げたノートは白紙で、何一つとして文字は書かれていないわけで。
おでこに手を当てて、そのまま蓮二はベッドに崩れ落ちるようになると、
「らしくねぇ…」
ポツリ、そう呟いた。