【中編】彼女様は甘い味。
「おっはよ~っ!」
バシッと背中を叩かれて苛っとしながら後ろを振り返ると、そこには変態男。
…朝は苦手だから苛々すわけで、別にコイツが嫌いなんじゃない。ただ低血圧なだけで。
「…そんな嫌そうな顔、しないでよね?」
「してねぇよっ!
…朝っぱらからテンション高すぎでしょ?お前」
京也は歩いてる俺の目の前まで来るとニヤッと笑う、不敵に。
「…んだよ、」
「やっぱり…、
蓮の機嫌が悪いのは奏音ちゃんが原因?」
…っは!?
何で、あんなよりによってウサギ女?しかも、俺別に機嫌悪くねぇしっ!!
「…ウサギ女は関係ねぇ!」
「いやいやぁ…、
もうおかげ様で、愁も元気なくて死んじゃいそうだからさ?」
そう言って京也が指差した方を見れば、徹にズルズルと引きずられたまま教室に入って行く愁。
…そんなに、?
「もうずっと『奏音ちゃんに嫌われたー』しか言わないの」
ハァっと溜め息をついて困ったような表情の京也。
「…その様子じゃ、歌詞なんか浮かんでないんでしょ?まだ」
「うるせんだよっ」
図星。だったり…
そのまま京也と同じ教室に入って行く。
「…あ、Devilの新曲っていつやるのー?」
教室に入るなり、そんな声が聞こえてさらに不機嫌になる蓮二。
「新曲はねぇ~、来週あたりかな?
…ホームページ見てくれれ分かるよっ」
ウザいくらいのキラキラした笑顔を女子に向けて京也は言うと、俺の肩に自らの肩を組むと、
「楽しみにしててね?
…ホラ、連も~」
「はぁ…っ?
知るかよ、んなこと!!」