【中編】彼女様は甘い味。
ハァっと深いため息。
あ、馬鹿にされてる俺…、なんてことを思いながらも口にしないでおく。
「…ラブだよ〜ん、
ラブアタック!!」
ピースにウィンク、はっきり言って気色悪ぃ。けどそっれって…
「ウサギ女のこと、好きなのかよ…ソイツ」
珍しいなと思うくらい元気がない自分、あれ?…どうしたわけ?俺、本当に。
…変な気分になりながら、頬杖をつく。
だんだんと苛々が募ってくるのが見てすぐ分かる蓮二の貧乏ゆすり。…これも悪い昔からの癖。
「動揺してるでしょ?…蓮、」
ニヤッと笑うその顔ムカつく。
…大体、俺が動揺?
「ふざけてんの?…あ、あり得ねぇ、」
いや、明らかに動揺しています。
「ふふふ、分かりやすいな、蓮二くんは本当。
…だったら優しくしてあげなきゃ、女の子は連が思ってるより脆いモノなんだから」
何か…、
コイツにこういうこと言われると、説得力ある。気がする。
…それは京也が…、うん。言わないでおこう。
「ふんっ…」
ぶっきら棒にそう言うと、蓮二の視線は窓にまた向かって。
隣では面白いモノを見ているな楽しそうな表情で京也が不敵に微笑む、…もっと素直になればいいのになぁ、なんて思いながら。
…そして今の蓮二の単細胞な頭の中には“ラブアタック”しかなかったわけで。
自分の気持ちなんて簡単に分かるものだろうけど…、実はそんな簡単にはいかないもの。
奏音同様、蓮二も悩んでいたのです。