【中編】彼女様は甘い味。
「…ほら奏音?
とりあえず、座って」
そう結衣ちゃんに言われて、近くの椅子に座る。
…将来有望のDevilのメンバーには何故か!
部室、?というか教室一つぶんの音楽専用の部屋が用意されている。
このことに今更ながら、少し驚く奏音。
「…なぁ、奏音…
ごめんな?お前が来なくなってから俺、マジ死にそうでーっ」
…っ?!
ギュゥっと何かに抱き締められたと思えば、
目の前に見えるのは金髪のサラサラの髪で…あ。この人は、って。
「いえ、…違いますよ、
…大塚先輩のせいじゃありません」
スッと離れた瞬間に満面の笑みで愁に笑いかける奏音。
「……っ、」
突然、動きが止まる先輩。
どうしたんですか…、ね?
「…せ、せんぱ「可愛いっ!」」
ふ、ふえぇ…っ!?
またギューッと抱き締められる…、あたし…?
「ちょーっと、待ったぁぁーっ!」
…その声とともに剥がされる、愁くん。
表情は今にも泣きそうな顔。
けど、今の奏音は。
「…葛木、先輩…」
呆れたような、そんな顔。