【中編】彼女様は甘い味。
急な声に何故か固まってしまう奏音。
…っ?
「な、なんでしょう…か、?」
「あっち、…」
何だか山瀬先輩にしては珍しく、あたしに声を掛けたかと思うと…もう一つの部屋のドアを指差してこちらを無表情で見た。
…あ、っち?…ですか。
「…?」
「だから…っ、「ちゃんと言わなきゃ分かんないってば!」」
未だに分かっていない奏音に苛っとする徹。…そしてそれを見かねた愁が言葉を遮るようにそう言うと、奏音の目の前に来る。
「…奏音が来なくなって、一番ダメージ大だったの。…蓮二だったみたいよ?」
えっ…?
その言葉の、…意味があまりよく…
「そ~だよ~んっ!
…蓮のとこ、行ってあげてよ。まぁ、蓮だけズルい気もするけど、」
葛木先輩もそう言うと、『…徹が言いたかったのはこういうことだよね?』なんて言ってバシバシと先輩の背中を叩いていて、…あぁ、痛そうです。
「今回は…、サービスだよね、うん!」
“サービス?”
愁先輩は、何を蓮先輩にサービスするんでしょうか…?
「…出来ないと困る、新曲」
ボソッと山瀬先輩が言う。
…あ、そういうことなんですねっ!
いや、違うと思うけど。