【中編】彼女様は甘い味。




急な声に何故か固まってしまう奏音。


…っ?




「な、なんでしょう…か、?」


「あっち、…」

何だか山瀬先輩にしては珍しく、あたしに声を掛けたかと思うと…もう一つの部屋のドアを指差してこちらを無表情で見た。



…あ、っち?…ですか。




「…?」


「だから…っ、「ちゃんと言わなきゃ分かんないってば!」」



未だに分かっていない奏音に苛っとする徹。…そしてそれを見かねた愁が言葉を遮るようにそう言うと、奏音の目の前に来る。





「…奏音が来なくなって、一番ダメージ大だったの。…蓮二だったみたいよ?」


えっ…?




その言葉の、…意味があまりよく…



「そ~だよ~んっ!

…蓮のとこ、行ってあげてよ。まぁ、蓮だけズルい気もするけど、」


葛木先輩もそう言うと、『…徹が言いたかったのはこういうことだよね?』なんて言ってバシバシと先輩の背中を叩いていて、…あぁ、痛そうです。



「今回は…、サービスだよね、うん!」


“サービス?”


愁先輩は、何を蓮先輩にサービスするんでしょうか…?




「…出来ないと困る、新曲」

ボソッと山瀬先輩が言う。


…あ、そういうことなんですねっ!




いや、違うと思うけど。



< 75 / 189 >

この作品をシェア

pagetop