【中編】彼女様は甘い味。
タマゴクソヤロウ…?
…何故、奏音はいつもカタカナに変えてしまうのかは謎。
先輩が言うその、卵糞野郎さんは一体どなたなのかは知りませんが、…少々お下品なのではないかと…
「…どなたですか…?その、卵のお方は…」
“卵糞野郎”とは言えなかったんだろう。とりあえずそう言ってみる、
するとキッと睨みつける瞳がこちらに向けられて…?
…どうしてそんな不機嫌なお顔をされていらっしゃるんでしょうか、蓮先輩。
もしかしてあたし、何かまたとんでもないことを…っ!?!?
そしたら本当に…今度こそ、
「卵ぶっ掛けた男だよ、お前の知り合いの…」
また聞こえた先輩の大きなため息。そんなに機嫌が悪いんですね、今日は。
…それよりも、先輩の言っている人が未だに分からないのですが、
卵、ぶっ掛けた?…男?
あたしのお知り合いの方…?
卵、卵、卵、卵…
そんなことを考えていると頭の中には可愛らしいヒヨコが浮かんでしまう。
…そうじゃないそうじゃない、と何度も心の中で唱えてその頭の中の想像をワシャワシャ。
桜木奏音という人間はこういう人間なんです。
…あぁっ?!
急に見開いた自分の目、無意識に合わせて音を鳴らす掌。
「…もしかして、」
先輩、…知ってたりしちゃったりしなかったり知ってたりするんでしょうか…、ね?
少しずつ青ざめるあたしの顔。
それを見て眉を八の字とは逆にさせる先輩、