【中編】彼女様は甘い味。




「もしかしてだよ、」

いつもみたいに面倒くさそうな感じの口調で先輩はそう言うと、あたしの瞳を捕らえたようにグッと見据える。



…っ!


まるで何かの魔法にかかってしまったかのように、その青い瞳から目を逸らすことが出来なくなった。



ドキンと高鳴る胸、少しずつ上昇する身体の熱。

…何かがおかしい。最近のあたしは何かが狂っています…



「れ、…れんせ、」


“蓮先輩”

そう言いたかったのにその言葉は遮られて、あたしの口元には大きな手の平が被さってた。



え、…?




「れん、…先輩はいらねぇよ…」

小さくも大きくもない声で、


でもどこか少し赤くなった顔であたしを見つめながら先輩はそう言いました。




「…で、でも…」


「だから、いいって言ってんじゃねぇかよ」



そんなこと言われても…、


蓮先輩は、先輩なわけですし。…はい。




「年上の方ですし…、その…」


「呼べ」

…っうぅ!?!?


怖い…、ですね、やっぱり。



「れ…、れ…、れ、れーっ!!」


…何故叫ぶ?



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