【中編】彼女様は甘い味。
結局、何度挑戦しても、
やっぱり深く考え過ぎのせいなのか…「れ」より先の言葉を発することが出来ない。
「あのなぁ、…俺の名前は『れ』じゃねぇーんだけど…」
また呆れ顔。
…そんなことを言われても、
何だか声が震えてしまって…上手く言えないんです。
「…何だか、上手くできなくて…、
どうしてなんでしょう…っ?」
「俺に聞くなよ…」
お前は何を言いたいんだ?…的な顔をしたまま固まる蓮二。
「先輩のことを考えると…、何故か痛むんです!…心が。
…先輩と居ると身体が熱くなってしまうんです…、」
と、いかにもと言った爆弾発言をかます奏音。
…案の定。
更に固まり度が増してしまった蓮二の目は大きく見開いたまま。
…しばらくの沈黙。
「どう、…なされたんですか…?」
先輩が急に固まられてから少しばかりの時間が過ぎたのですが…
動かないどころか元々大きな瞳を見開いたままピクリとも動かなくなってしまって、
「………の?」
小さすぎて上手く聞こえない、です…。
言葉を発することをせずに、首を少し傾げる。
「お前、…なんなの?」
急に動きだしたかと思うと先輩の口からはそんな言葉が聞こえました。