【中編】彼女様は甘い味。
「…っはぁ!?」
恵ちゃんの大きな声が食堂に響く。
そんな恵を嫌そうに見ながら片方の耳を塞ぐ結衣。
な、なんなんですかっ!?この声は一体…
「恵、ちゃん…?
そんな大きな声を出されて一体どうしたっていうんですか…?」
でもきっと、『徹くん』という言葉に反応されてここまでの過剰反応をしたんであろうということは何となくだけど分かります。
おばさんが作ってくれたウサギの形をした人参を食べるの止めて、箸をお弁当箱の上に置くと話を聞こうと腹を割る奏音。
「…ズルイ!ズルイ!!
ついこないだ話せるようになったばっかりだし…」
「恵ちゃんは、山瀬先輩のことが好きなんですか?」
もし、恵ちゃんが本当に好きなのであれば…、それは大変お辛いことですよね、
…しかし。
「え?別に好きなわけじゃないよ?」
……。
……?
返ってきたのはあっけらかんとしたそんな言葉。
「え、」
じゃぁ、何故そこまで執着するのですか?
「先輩はただの憧れだもーん!
…それに結衣と先輩付き合ってるし…」
「…えっ?」
更に奏音の頭の中はフリーズ寸前までに追い遣られたらしく。
しばらくのメンテナンス。
そんな奏音を見て不思議そうな顔をする恵。