【中編】彼女様は甘い味。
それはつまり、
結衣ちゃんと…?山瀬先輩が…?
お付き合いをしているということになりますよねっ!?
「…あたし、知りませんでした、」
ガックリと肩を下げてショボーンとする奏音、話してくれてなかったことがショックだったのかかなりの大ダメージ。
「その頃、奏音が姫山先輩と色々あったじゃん?
だからしかたないんじゃないの?
…なかなか言う機会も無かったんだろうし…」
恵ちゃんにしては珍しく結衣ちゃんを庇っています。
けど、あたしが練習にも行かなかったわけですし…、仕方ないと言えばそうなりますね。
でも恵ちゃんならまだしも、
…結衣ちゃんに言って貰えなかったのは少しばかり残念です。
あ、恵ならいいんだ。
と突っ込みが入る。が…
「……うん、分かった。それじゃぁまた」
そんな声が聞こえて、見ればちょうど結衣ちゃんの電話は終わったようだった。
「結衣ちゃん、…」
見れば今にも泣きそうな顔の奏音、隣では困った顔の恵。
結衣の勝手な判断と偏見で、きっと恵が奏音のことを苛めたに違いないと思ったらしい。
「ちょ、…ちょっと待ったぁー!!
…今回は悪いけどあたしが悪いんじゃなくて、アンタが原因だから」
そう言うとグッと人差し指を結衣に向ける。
「あたし…?」
案の定、何がんだか分かっていない様子の結衣。
それはそうだ。さっきまで笑っていた人物が急に泣きそうな顔をしてて、ましてやその原因がいきなり自分と言われても…
なかなかそんなの理解出来っこない。