【中編】彼女様は甘い味。




激しく動揺中の奏音。


でもこんな奏音を更に更に激しく動揺させる出来事がこの後に起こる。



「…わ、分かってるって何をですか!!」


何だか無性に自分がムキになっている気がしますけど…、仕方ないです。



でも、いつも二人の会話の意味が何度か深く聞かないと理解できないんですよね、…あたしって。


どうして何でしょうね?


…うーん。



「だ・か・ら…っ!

“好き”何でしょ?本当は。」


更にあたしに詰め寄る恵ちゃん。




…そんな恵ちゃんの視線が痛くて俯いてしまう。


「ちゃんと、…本当のこと知りたいわ?」


またいつもの優しい笑みを浮かべて奏音に笑い掛ける。



「好きです!

…多分きっとこれが、その“恋”なんでしょうか、」


『好きです』が大きくなった分、その後の声はボソボソ独り言のような感じ。




…それよりも、

納得がいかないといった表情をする、この人。



「おかしくない!?

区別?差別?軽蔑?」


きっと結衣の一言で即答した奏音が許せないらしい。けどいつものことだから気にすることはない。



それにいつまでも立っているわけにはいかないので、二人とも椅子に座る。



…あたしお弁当食べかけですっ、


急いで箸を持つと、パクパクと次々におかずを口の中へと運んでいく。



「…まだ時間あるんだから、ゆっくり食べたら?」


あまりにもハイスピードで食べる奏音を心配そうに結衣が言う。
それに続いて『落ち着きなよ』なんて言葉も聞こえてくる。



何だかよく分からないけど、
こんな「好き」っていう話しをしたせいなのか何なのか、激しく脳内が活性化されているみたいです。



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