兄妹のキョリなんて恋人より近いはずだ
目さえも合わせてないのに顔がずっと熱い。
バレたくなくて家を出た時からずっと俯きがちだ。
「いや、いい」
そんな私にとっての危険人物とご飯なんて言ったら私は軽く心臓が止まる。
一緒にご飯に行けるのは私が心臓を増やしてからだ。
私が夜な夜な、臓器売買のサイトを見ているのはそのためだ。
この男は私がこう突き放す言葉を使うといつも困ったように笑うのだ。
そう、私の兄 萩原和成 は誰から見ても嫌な妹を怒りも呆れもせずただただ許すお人好しな人間だ。
そんなところが好きで好きでしょうがない。
「カズ兄!俺も連れってて!」
私の横からひょっこりと顔をだしにかっと笑うのは私の双子の弟 翔だ。
「もちろん。翔も部活、頑張ってるもんな。佳代も翔が一緒だったらいいだろ?」
咄嗟に断ってしまったことを後悔してた私にとってそれは嬉しすぎた。
「…ん」
頬の緩みを両手で隠しながらまたぶっきらぼうに答えた。
ご飯の約束をした嬉しさをどうにか隠しながら和成と翔と私の3人で学校まで
歩いた。