コバルトブルーの誘惑
やって来たエレベーターに私はサラさんに腕を取られたままで乗り込む。

「舞、怒ってる?」とサラさんが私の顔を覗く。

私がムウっと黙ると、

「日本人の悪い癖ね。言いたいことは言葉にしないとわからない。」とふふと笑う。

「先ずは自己紹介していい?私は前島 沙羅(まえじま さら)31歳。
イギリス生まれのイギリス育ち。両親は日本人。
ケンの事も言っておく?
前島 健一(まえじま けんいち)日本生まれ日本育ち。私の夫。33歳。
で3人とも『アンダーソン』の本社に勤めてた。
レオンが支社を任されると決まった時、日本支社が良い。って言ったから、
日本人の私達が付いて来てサポートすることになった。
元から、私達仲が良かったし、嶺緒は半分日本人だからね。
で、嶺緒はそれからものすごく、日本語を話せるようにした。
なんでだかわかる?
舞にもう1度会うと決めていたから」


「サラさんは私達の事を知っているって事ですか?」

「知ってるわよーう。嶺緒がうるさいし。」

え?
なんで?

「嶺緒って思ってた以上に一途だと思う。
『派遣会社って、舞も派遣してもらえるかな?』とか夜中に電話して来て、ケンが唸って考えてたし…」


考えた結果がコレ?
派遣を受け入れる代わりにってヤツ?

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