コバルトブルーの誘惑
「ファミリータイプ4LDK。どうぞ。入って。レオの部屋だけど…」

と通された部屋は角部屋の夜景が綺麗なタワーマンションそのものだ。

「お腹空いたね。ルームサービス取ろう。
いっぱい食べよう。こんなに腹が立ったんだから…」と言われると、お腹が空いてきた。

洗面所を借りて、手を洗って鏡を見る。

派遣会社を出た時より、マシな顔をしているだろうか…

『アンダーソン』の御曹司のただのワガママ?
私と会社を困らせるつもりはないってことだろうか…

少し化粧を直して、部屋に戻ると、

「顔色良くなったし、怖くなくなったわ。
大丈夫。嶺緒はあなたにゾッコンよ。」とサラさんは私に笑いかける。


ぞっこん…とか言われて、秘書なんていう仕事を知らない会社でする事になるなんて…

それって結構『大丈夫』とは思えないんですが…


…嶺緒は私と恋人になりたいと思っているの?

私は?

5年ぶりに会った嶺緒の事…どう思ってる?



サラさんはフルコースのように食事をオーダーし、
私達は食事をしながら、お互いの趣味がテニスだということを知ったり、パンケーキを食べ歩くと私が言うと、一緒に行きたいとサラさんが言ったりして、デザートにチョコレートスフレを食べる頃、
嶺緒とケンさんが帰って来た時には、サラさんと笑いあって話すようになっていた。


「楽しそうだな。」と微笑んだ嶺緒は

私の頭にただいま。とキスをして着替えに行った。


「普通に恋人だろ。」とケンさんは私の顔を覗くので、私は肩をすくめておく。

「機嫌は直ったみたいだな。お手柄だ。サラ。」とサラさんの頬にキスをしてこれも洗面所に消える。


サラさんが、
「きっと向こうで舞の機嫌が直って良かったね。ってコソコソ言ってると思う。」と私の顔を見た。
< 24 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop