コバルトブルーの誘惑
その夜は私のために用意されていた夜景のきれいな部屋に案内され、
(セカンドベッドルームかな)広いバスルームもトイレも付いていたし、ダブルベッドの上には必要な衣類や化粧品も置かれていたので、(下着もパジャマも少し派手なセクシー系だったけれど…)ありがたく借りて、ふかふかのベッドでゆっくり眠った。

自分の部屋に戻ろうと朝早く起きてシャワーを浴び、身支度を整えリビングに入り、嶺緒にメモでも置いて出て行こうと思ったら、先にとダイニングテーブルの上にメモが置いてあった。

『アサゴハン、イッショ二タベヨウ』

…やれやれ。先をこされてしまった。

でも、1度帰って服を着替えて、出勤したい…


主寝室と思われる部屋をノックするけど、
返事はない。
まだ、早い時間だからなんだけど
このまま帰るのはちょっと気がひけるかな?

そうっとドアを開け、ベッドに近づく。
よく眠っているらしく、寝息も聞こえる。

ベッドサイドの小さなテーブルにはノートパソコンとフォトスタンド。

…写真飾ってるんだ…とつい、見てしまう。
この間、スカイツリーで撮ってもらった写真が飾られていて、ふたりの笑顔がなんだか照れ臭い。

顔を覗くと、穏やかな寝顔。

洗いっぱなしの癖っ毛のが、可愛らしい。

思わず髪に触れると、碧い瞳が突然開いて、私の顔を嬉しそうに覗き込み、腕を引っ張って自分の身体のうえで抱きしめる。

「起きてたの?」

「ノックが聞こえたから、入ってくるかなって待ってた。」

「困ったひとね」

「うん。舞は僕の髪を撫でたね。なんで?僕が好きだから?」

「…何故かしら?…自分でも、よくわからない。」とポツリと呟くと、

「まだ、わからなくていいよ。好きになってもらえるように努力する。」

うーん。困るな。
私をどうしたいんだ?この男…



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