コバルトブルーの誘惑
更に2週後の金曜の夜、私はサラさんをオシャレな居酒屋に案内し、
とりあえず、ビールで乾杯し、おつまみを頼み
楽しく酔っ払っていると、
サラさんのスマホ着信があった。

ケンからと言って席を立ってスマホを耳に当てる。

「舞、嶺緒が倒れたって…」と顔色を変え、私に荷物を持たせ、店を慌てて出た。

「どうしたの?」と大通りに出てタクシーを待ちながらサラさんの顔を見ると、

「会食の後、フラフラして、ケンは酔ってるって思ったらしいんだけど、
車の中で意識を失ったらしい。
今は病院で診察を受けてるって言ったわ」と言った。

やって来たタクシーに手を上げ、一緒に乗り込んでサラさんが総合病院の名前を言う。

私はタクシーの中で、手を握りしめ、言葉が出ずに前を見つめている。

胃のあたりがキュッと掴まれたように苦しい。
心臓がドキドキ鳴って、耳も痛く感じる。

嶺緒が倒れた。

大した事がなければいいけど…


「…舞まで倒れないでね。すごく顔色悪くなってるけど…」とサラさんが私の顔を覗く。

「大丈夫です。」と小さな声で返事をする。

「嶺緒ちょっと、無理をしすぎちゃったかなあ…」とサラさんも小さな声で呟いた。

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