コバルトブルーの誘惑
「イイトコロを邪魔して悪いけど…」と後ろにスーツ姿の男性と女性がいる。

どちらの男女も日本人っぽく、30代前半の出来るビジネスマンに見える。

「嶺緒、俺達オフィスに寄ってから、実家に帰る。」と男性が小型のスーツケースを嶺緒に渡す。

「ケンとサラ。僕の仕事仲間。」と私に紹介してくれる。

「は、初めまして。」

「日曜の20時、京都からの新幹線予約してある。
舞さん、一緒に東京に帰ってきてください。」
と長身で細身のスーツが似合う育ちの良さそうなケンさんが私に笑いかけて、立ち去り、

「良い週末を。」
とこれも私よりも頭ひとつぶん背の高いショートカットのくっきりした笑顔のサラさんが手を振って、ケンさんに付いて行った。


「…一緒じゃなくて良かったの?」と聞くと、

「邪魔されたくない。」とくすんと笑って、スーツケースを引き、
反対の手で、私の手を取って歩き出した。


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