コバルトブルーの誘惑
成田からスカイライナーに乗って東京駅に着く。

嶺緒は駅から近い、外資系のホテルに泊まると言い、

「舞も一緒に泊まる?」と私に笑いかける。

「今日は自分の部屋に帰ります。…京都って一緒の部屋じゃないよね。」

「キッチン付きの2LDKのホテルの部屋を取った。
リビング広いし、ベッドルームは2つ。同じ部屋だけど、ホームステイの時と一緒。良いでしょ。」と私の顔を見た。

ホームステイ先は留学生を受け入れる事を仕事にしていて、大きな一軒家にその時は17歳から25歳までの女の子4人と、男の子3人がホストファミリーと一緒に生活していた。

そういうことなら良いかな…

嶺緒と同じベッドルームじゃなければ…





5年前とは違う。

あの時は…若かったし…ひとりで留学した事で、自分が自由になったってそう思ってた。

嶺緒は会った時から長い髪と黒い瞳を褒めて、ホームステイ中、ボーイフレンドとしていつも優しくエスコートしてくれた。



イイキになって、碧い瞳と見つめ合い、恋人気どりだった。

3週間一緒に過ごして、

最後の日にもう会えなくなると、お互い感傷的になって、身体を重ねた。

私は初めてだったけど、後悔はしていない。



連絡先は交換していたけど、

その後、嶺緒から連絡は来なかった。


…それがあの時の答えだと思っている。


でも、…
私は日本に戻ってから、何カ月も連絡を待っていたのだ。

…いつまでも苦しかった。

やれやれ。



嶺緒は今日は「すき焼きが食べたい。」と私に微笑みかける。

もちろんリサーチしてある。

私は新しい商業ビルに入って、すき焼きの老舗の店を目指した。

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