コバルトブルーの誘惑
翌朝、私は嶺緒と東京駅で待ち合わせた。

昨日は一緒にすき焼きを楽しみ、
駅に併設されたホテルのバーで少しだけ、お酒を飲んだ。

私が会計をするつもりだったのに、どちらの店も嶺緒がカードで支払いをしてしまった。

私が怒ると、

「だって、舞は今日はホテルにとまらないんでしょう?
ホテル代の代わりに食事を奢ってもらうって約束だったのに…先に約束を破ったのは舞だよ。」とたしなめられてしまった。

「明日は私が払います!」と言うと、

「明日はラーメンが食べたい。」と言うので、

…それって結構安いよ。

と心の中でため息をつく。



明後日は夕方、京都の川床料理のお店で、懐石を食べることにしてある。

そこで、少しはご馳走する事ができるだろうか?
と思いながら自分の部屋に帰ったのだった。


私は待ち合わせた場所に行く前に交通カードを購入し、チャージしておく。

待ち合わせのコーヒーショップで、ノートパソコンを操作しながらコーヒーを飲む、嶺緒を見つけ、

やっぱりカッコいい。と店の外から確認する。

今日はカジュアルなポロシャツとデニムだ。

手足が長く、背の高く、おまけにブルーの瞳のイケメンはコーヒーショップの中でも注目のマトだ。

私と釣り合いが取れないと、周りに思われないだろうかとちょっと不安になる。

今日はノースリーブの白いシャツに柔らかい黒のパンツを合わせ、
髪を後ろで1つに結び、ブルーのトルコ石の揺れるピアスを付けている。

私が店に近づくと、ふと目をあげ、ガラス越しに嬉しそうな笑顔を見せる。

そのブルーの瞳に私はドギマギしながら、手を振り返した。






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