二人だけの秘密
学校の指定された黒い革靴を履いて、黒いカバンを持って僕は家を出る。家を出ると、広い庭が広がっていた。
土地だけでも優に150坪は超える、広々とした庭。
広々とした庭には砂利が敷き詰められており、年季の入った大きな松の木が歴史を感じさせるように立っている。
大きな松の木の真下には、石灯篭が一本豪華に立っている。石灯篭は全部で三本あるが、玄関から外に出て最初に視界に入るのは松の木の真下にある、石灯篭。
ーーーーーー和風日本庭園。
「ワォーン!」
僕が玄関から外に出ると、飼っている愛犬のビーグルが吠えた。
体毛の半分が茶色と黒で覆われているが、少し首元に白が入っている。まん丸とした目に、耳が垂れているのが特徴的な犬だ。
「お前は、いいよなぁ」
僕は愛犬のビーグルの頭を優しく撫でた後、庭の門に向かって歩く。
緩やかなカーブに敷かれた石畳の道を少し歩くだけで、外に出る門がすぐ見える。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
手を振って見送る母親の姿を見ながら、僕は庭の門をくぐって外に出た。外に出ると街の気温もすっかり心地よく感じ、春らしいポカポカ陽気に包まれている。
澄んだ空を見上げると、青い海のような空が広がっていた。白い雲も少なく、まぶしい太陽が降り注いでいる。
電線の上には小鳥が数匹乗っており、チュンチュンと鳴いている。