二人だけの秘密
「未来、遅すぎ。もう、昼休み終わるぞ」

僕が教室に戻る頃には、昼休みも終わりの時間帯だった。教室に戻ると、裕也が喋りかけてきた。

「ご、ごめん」

僕は、謝った。そして、美希さんの机の方に視線を向けた。

僕の数メートル視線の先に、美希さんのイスに勝手に座って話に花を咲かせている男性陣の姿が見えた。僕は、その男性たちに近づく。

「もうすぐ昼休み終わるし、自分たちの席に戻ったら。そこは、違う人の席だろ」

と、軽く注意してみたが、

「いいじゃ、未来。かたいこと言うなよ」

と、美希さんのイスに座っている、男性に軽く流された。

「そうだぜ、未来。それに、こいつ全然学校に来てないじゃん。名前、なんだっけ……?」

と、首をかしげながら、僕の隣にいた背の高い男性が笑いながら言う。

「確か、酒井じゃなかったけ………?」

「そうだ、そうだ。確か、そんな名前だった」

「………」

ほんの数ヶ月前まで僕を殺人鬼呼ばわりしてたくせに、今は普通に名前で呼んでいる。でも、アイドルアイドルと叫んでいた美希さんの存在は、みんなの記憶から忘れられてしまっているように感じる。
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