二人だけの秘密
「おはよう」

二階からリビングに降りると、僕は両親に元気よくあいさつをした。

六年前の自分と比較しても、その声のトーンは全然違う。

「おはよう、未来。今日は大事な結婚式なんだから、早く支度してね」

六年前と変わらず朝はバタバタと忙しい光景が広がっているが、今はそんな日常すらも大事に思える。

白い柔らかいソファーの上には学生服ではなく、スーツが準備されていた。それも、六年前とは何も変わっていない。
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