二人だけの秘密

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『4月11日《金》午後6時32分』




夕日を帯びて、空が琥珀色に染められた頃。僕は二階にある、自分の寝室にいた。

窓ガラスから見える、西に沈んでいく太陽。その西に沈んでいく夕日の太陽が、僕の寝室に差し込む。

「お母さんが、まだ帰って来てなくてよかった」

そう言って僕は、胸をなでおろした。

夕方には帰って来ると書き置きを残していた母親は帰っておらず、家には僕しかいなかった。それについて僕は、ほっと安心した。

「美希さん、日記書いてくれたかなぁ？」

僕は帰り際に言われた、美希さんに言われた言葉を思い出した。

【今日は、ありがとう。本当に、喋っていただけだったね。お店のホームページの日記に、栗原さんのこと書くね。と言っても、バレないようにちゃんと名前を隠すよ。最近、女子大生の風俗嬢が、男子大学生数名に強姦されたニュースが世間に報道されて以降、マナーの悪いお客が増えたんだぁ。別に体を触られるのが嫌とかじゃないんだけど、ただ、同じ仕事をしている仲間として、あのニュースは嫌だなぁ…………】


ーーーーーー最近起きた、有名な女子大生強姦事件。あの後、女子大生の父親がナイフで復讐し、男子大学生一人の命を奪った。

この事件は各局のテレビでも何度も報道され、胡散臭い評論家が問題点を厳しく指摘していた。

ーーーーーーどうやら、美希さんもこの事件を知っていたらしい。