二人だけの秘密
今日の天気は、僕に似てるような空模様だった。どんよりとした重い雲が広がっており、今にも雨が降り出しそうな天気。

テレビの天気予報では、午後から雨が降ると言っていた。

「こんな日でも、美希さんは仕事なのか………」

僕は、彼女のことを思って呟いた。

「…………」

両親に怒られて以降、僕は彼女の店に行くのを我慢した。学校では会っていたが、店と違って彼女とすらすら話せない。それは、裕也と友梨がいるからだ。だから、彼女と会うことがとても久しぶりに感じる。

「………」

美希さんと店で会えないまま、ゴールデンウイークを迎えていた。バスの車内もゴールデンウイークのせいなのか、人もいつも以上に多い。

子供連れの母親がいたり、若い男女がいる。バスの席はもう空いておらず、つり革を握りしめている人たちもいた。

「………」

僕は目を瞑って、朝の光景を思い出す。


ーーーーーー今から、三時間前ーーーーーー。

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