はじめて知った世界の色は
「誰かと話せたことが嬉しくてさ。話を聞いてほしいなんて大袈裟なことを言ったけど本当はこうして会話ができてるだけでホッとする」
「………」
「だから迷惑なのは分かってるんだけど……。暫くの間、俺の話し相手になってくれないかな?」
〝話し相手〟という言葉に私の眉がピクリと反応してしまう。
だってそれは私が一番避けていたことで、久しぶりに会話のキャッチボールをして喉が疲れてるぐらい私は誰とも関わらないで生活してきた。
「ダメ……?」
なんて綺麗な顔をしてるんだろう。
こんな人見たことない。
緑斗の右耳に付いているピアスがキラリと光って。それは深い緑色の石のような形。
ここにいるのに、ここにいなくて、
非現実的なのに、これは現実で。
私がぼんやりと過ごしている1日よりも、この幽霊と話していることのほうが妙にリアル。
だから気づけば別に軽い気持ちで。
面倒くさくなったら切り捨てるつもりで。
「いいよ」
自分でもビックリするぐらい、そうはっきりと答えていた。