はじめて知った世界の色は
こんな風に堂々としたいと思ってた。
こんな風に言いたいことを言える人になりたいと思ってたから。
「は?マジでムカつく……!また痛い目見なきゃ分からないのかよ!」
珍しくエリが赤い顔をして私の制服を掴んだ。
と、その時――。
「……やめて!!」
教室に響いたひとつの声。
みんなの視線がすぐに声がする方向に向いて、
そこにいたのは森川さんだった。
森川さんは胸にたくさんのノートを抱えていて、表紙には〝茅野さんへのノート〟と森川さんの字で書かれていた。
「か、茅野さんを傷つけるのはもうやめて!」
森川さんもあれからきっと考えてくれて、それがこの答えなんだと思う。
みんなの前で発言することがどんなに勇気がいることなのか私は十分すぎるほど分かってるから、込み上げるものを必死で抑えていた。
「前に茅野さんのことを先生に言ったのは私です。これから先も茅野さんにひどいことをしたら私は黙ってないで防ぐ方法を探すし、名前だって公(おおやけ)にしてもいい」
「………」
「立場が悪くなって学校に居づらくなるのはあなたたちのほう。いじめなんてカッコ悪いことだってそろそろ気づいたほうがいいと思う」
森川さんの足が震えてるのが分かった。