はじめて知った世界の色は


すると緑斗は布団に横になりながら可愛い顔をした。


「さっき見てたドラマのセリフだよ!こういうの言われてみたい?って聞いたら翠ちゃん『うーん、まあね』って言ってたから」

言われてみればそんな会話をしてたような気もするし、イケメン俳優の人が同じことを言ってたっけ。

それにしてもいきなりすぎというか……私の動揺を返してほしい。


「なんで翠ちゃん怒ってんの?」

「別に怒ってないし」

そう言いながらも私の口はへの字のまま。

緑斗らしくないとは思ったけどアレは不意討ちだし、だいぶ反則だよ。そんなやり取りをしているとドアの向こうからお母さんの声が。


「翠?洗濯物持ってきたよ」

「え、う、うん。ちょっと待って!」

緑斗の姿が見えないとはいえ、やっぱりドキドキしてしまう。
< 108 / 180 >

この作品をシェア

pagetop