はじめて知った世界の色は
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そして次の日の学校。この間までブレザーが暑いくらいだったのに今日はすごく涼しくて季節が変わるのは本当に早い。
「ねえ、なんか登校中に独り言、言ってなかった?」
由実が私の席まで来てくれて「おはよう」と挨拶してすぐにそんなことを聞かれてしまった。
「え?独り言?い、言ってた?」
……まずい。
色々気をつけているけど、やっぱり緑斗と接する感覚は普通の人と変わらないから周りからの目を忘れてしまう。
「うーん。一瞬見かけただけだから分からないけど口が動いてるように見えたよ?」
「き、気のせいじゃないかな」
友達の由実に嘘をつくのは心苦しいけど仕方ない。
噂されている緑斗はまたフラフラとどこかに行ってしまった。
多分理科室か音楽室。……あ、でもすり抜けて屋上に行けるから羨ましいでしょってこの前、自慢してた気もする。
「それより先週からうちに来てる教育実習の先生が美人だって今朝も3年の先輩が騒いでたよ」
由実は見かけとは反対にけっこう情報通で、私は疎いからこうして教えてもらっている。