はじめて知った世界の色は
図書室のカウンターの横にある白いテーブルでご飯を食べることになった。飲食禁止の図書室で食べられるのはどうやら委員会に所属している人の特権らしい。
「先生はいつから教師志望だったんですか?」
「小学校の卒業アルバムにはすでに将来は先生になりたいって書いてたかな」
「今って教師目指す人は少なくなってるって聞きますけど、やっぱり就職探すのも大変な感じですか?」
「大学によって違うと思うけど、うちの学校は教鞭には強いし色々な人の紹介であんまり苦労はしないって聞くよ」
「そうなんですか!」
なんだかふたりの会話が眩しくて入っていけない。私は黙々と購買で買ったパンを食べて、ふたりの話を聞いていた。
すると目の前に座る藤沢先生と目が合って、しかも大きな口を恥ずかしいぐらい開けてるとき。
「そのクリームパン美味しいよね」
「へ?」
「実は私もここに来てから毎日食べてるの」
そう言いながら藤沢先生はクリームパンをひと口かじる。
同じパンとは思えないほど食べ方も綺麗だけど、本当に気さくで飾らない人だなあ。こういう先生が担任になってくれたら絶対に毎日楽しいはず。