はじめて知った世界の色は
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そして緑斗の風邪は少し長引いたけど、それでも3日後にはすっかり熱は下がって今はちょっとうるさいぐらい。
「ねえ、翠ちゃん。俺は食べ物を売る店がいいと思うんだけど、どう思う?」
「………」
無視しているわけじゃない。だって今は教室で文化祭の出し物を決める大事なクラス会議の真っ最中。
いつもなら緑斗は教室を出ていくのに今日に限ってクラスの一員のように参加している。
黒板には提案された複数の出し物が書かれていた。
〝お化け屋敷〟
〝プラネタリウム〟
〝駄菓子屋〟
〝占い喫茶〟
どれもありきたりだけど、文化祭には欠かせない出し物だ。みんな準備が面倒じゃないやつって意見が多くて、結局多数決の結果2年2組は駄菓子屋をやることになった。
「……はあ、あの中だったらお化け屋敷がよかった」
緑斗はずっと私の隣で文句を言ってるけど。
お化け屋敷がいいって……自分の存在を分かって言ってるのかな?まあ、なにもない場所で緑斗がフーと息を吐けば大絶叫間違いなしだけど。
駄菓子屋はお菓子を買ってきて箱に並べるだけだからラクだなって思ったのに何故か私は宣伝用の看板係。
「由実がイラスト書くの上手いなんて知らなかったよ」
「へへ。巻きこんじゃってごめんね」
そう、由実がイラストを書く代わりに私がペンキで色を塗ることになったから。色塗りなんてしたことないし、台無しにしないか今から不安。
文化祭まであと2週間。
まだまだ決めることはたくさんあるけど、当日に向けて今日から準備をはじめることになった。