はじめて知った世界の色は


――ガラガラガコン、と自動販売機でお茶を買ってペットボトルのフタを開けた。

少し段差になっている場所に座って、まるで子どものように足を伸ばす。


「……私って得意なことなんにもないなあ」

ぽつりと青空に向かって呟いた。


「んー?どうしたの急に」

緑斗がひょっこり顔を出してそのまま私の隣に座った。緑斗も同じように足を伸ばしたけど私との足の長さが全然違いすぎて、益々私が幼児体型に思えてくる。


「この前ね、由実が将来のことについてちょっと話してて。まだ高2なのに明確ですごいなって」

だから図書室での会話を聞いた時、自分自身に虚しくなった。


「うーん。誰かと比べる必要はないと思うけど高校2年生って大人と子どもの境目っていうか……。甘えたいのに甘えられないし。色々自分で決めなきゃいけないし、けっこう重要な歳だよね。17歳って」

普段ふわふわしてるくせに、緑斗はたまに真面目なことを言う。

そのたびにハッと気づかされることも多いんだけど、私は別の箇所を意識してしまう。
< 131 / 180 >

この作品をシェア

pagetop