はじめて知った世界の色は


どうして緑斗は隠すのかな。

本当は記憶が戻ってるんでしょ?


いつからって聞かれると分からないけど、いつからか緑斗が変わった境界線はあったはず。

不確かだった緑斗の言葉が確かなものになって、まるで自分の体験を話すような場面が多々あった。

それでも深く追及しなかったのは、隠さなきゃいけない理由があると思ったら。


緑斗は私が苦しい時なにひとつ聞かなかった。
だから私も無理やり聞くことはできない。

それでも、いつか話してくれる日がくるんじゃないかって淡い期待をしている自分もいる。


私に話してもいいと緑斗が心を許してくれるのはいつだろう。

そして私は……いつまで待つことを許されるんだろう。


だって緑斗との時間はきっと永遠にはない。


「……私たちの関係ってなんなんだろうね」

つい弱い言葉が出てしまった。

ずっとそれについて考えてた気もするけど、まだ緑斗との関係を表す言葉が見つからない。
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