はじめて知った世界の色は
決意のセラフィナイト
◇◆◇◇
いつの間にかカレンダーは10月になっていた。
文化祭まであと5日。学校の雰囲気も文化祭仕様になっていて正門のアーチはすでに完成して、見えないようにビニールシートが被せられている。
うちのクラスはというと、けっこう前から手持ちぶさたで他クラスに遊びに行ってる状態。
ラクなものがいいと駄菓子屋を選んだけど、来年はもう少し手間がかかるものがやりたいかも。
こういう行事ごとをきっかけにクラスに一体感が生まれたりするし、今のクラスはちょっと諦めてるけど3年生はそれも頑張りたいと密かに思ってたりする。
「翠、やっと赤色のペンキ回ってきたよ!」
由実が書いたイラストはけっこう評判がよくて、美術の先生に褒められてたぐらい。
ペン入れも終わってあとは色塗りだけなんだけど、看板は後回しとなかなかペンキを回してもらえずにいた。
「あと白と黒と青も必要だよね?」
「クラスだけのペンキじゃ間に合わないかもしれないから3組に行って聞いたらあとでそれも貸してくれるって」
「ああ、図書委員で一緒の子がいるんだっけ?」
由実は日に日に社交的になっていくし、どんどん可愛くなっていくから私も置いてかれないように頑張らなきゃ……!