はじめて知った世界の色は
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「ちょっと待って。聞いてない」
「え?そういうことなんじゃないの?」
両親が仕事に出掛けて家では緑斗とふたりきり。いつも静かな時間帯が今日は騒がしくて、おにぎりを食べたはずなのにもうお腹がすいてきた。
「話し相手にはなるけど、どこか行くあてぐらいあるでしょ?」
「ないよ!翠ちゃんに会うまで俺がどれだけ徘徊してたか知ってる?」
「それは知らないけど」
ちょっと話がこじれてるのは数分前の会話を遡る。
別にやることもないし読み飽きた雑誌をめくるだけの時間だったけど、それ以上に緑斗の視線が気になって。
だから聞いてみた。
『そういえばいつまで私の部屋にいるの』って。
そしたら普通の顔をして『え?暫く翠ちゃんの部屋で生活していいんじゃないの?』って言うから言い合いになってるというわけ。
「つまりここで寝泊まりするってこと?」
昨夜はすでに出逢った時間帯が深夜だったし、そのまま朝を迎えたのは仕方ないこと。問題は今日からどうするのかって話だ。
「平気だよ。俺電気も水道も消費しないしなにも食べなくてもお腹だって空かない。だから迷惑はかけないって約束するから!」
いや、そこを問題視してるわけじゃなくて。