はじめて知った世界の色は


確かかき氷を買ってお金を払ってた時はいたはず。だって隣で「俺はブルーハワイがいいなあ」ってぼやいてたから。

どこに行ったんだろう?

もしかして別の匂いに釣られていったのかな。
あっちのほうでは焼きそばを焼いてるらしいし、フラフラと行ってしまった姿が目に浮かぶ。

と、その時――。


「あ、先生っ!」

突然由実が前方に向かって手を振った。


そこに居たのはすでに他の生徒に囲まれている藤沢先生。「あ、森川さんと茅野さん!」とまるで友達のように手を振り返してくれて私たちは先生に近づいた。

「先生、前と雰囲気違って可愛い~」なんて3年の女子たちに褒められていて先生は恥ずかしそうにしている。


先生の格好はもちろん私服で、実習の時に着ていたスーツ姿と全然印象が違う。

清楚さは残しつつもオシャレで髪の毛を下ろしているからか美人オーラがさらに増している気がする。

そして自然に目がいってしまう場所。

それは先生の左手の薬指。
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