はじめて知った世界の色は
太陽よりも光輝くそれはどう見てもダイヤモンド。細くて白い肌の先生の指にすごく合っていて、先生の指にはめられるために作られたんじゃないかってぐらい。
とにかく高校生の私たちじゃ手の届かないくらい指輪は輝きを放っていた。
「先生って結婚してたんですか?」
私が聞きたかったことを代わりに由実が言ってくれた。
「ああ、これ?」と先生は照れながら指輪を触って、とっても可愛い顔でニコリと笑う。
「実は婚約指輪なの。大学を卒業した来年の春に結婚する予定かな」
こんな美人の心を射止めたのはどんな人なんだろうと気になったけど、それ以上に先生が本当に嬉しそうに言うから幸せなんだなってこっちまで伝わってくる。
周りにいる女子たちはもちろん「いいなー!」と口を揃えて言っていて、やっぱり5歳しか変わらなくても22歳は大人だなって実感した。
好きな人と結婚するなんて私には想像できないことだけど、そんな奇跡が世界中で起こってるなら私にも可能性があったりするのかな。
一生一緒にいたいと思える相手を見つけるのも大変なのに、一生一緒にいたいと相手も思ってくれなかったら結婚はできない。
そう考えると果てしなく遠い気持ちになるけど、私も一応女子だから憧れはある。
だからやっぱりその幸せの中にいる先生を見ると羨ましいと思う。