はじめて知った世界の色は


「茅野さんたちのクラスは出し物なにをしてるの?」

先生が雰囲気を変えるために文化祭の話に戻した。


「うちのクラスは駄菓子屋です」

「そうなんだ。私駄菓子って大好き!今でもたまにスーパーで買ったりするよ。他のところが見終わったら買いに行ってもいいかな?」

藤沢先生は本当に飾らなくて素敵な人。

そんな先生をついつい凝視してしまって、指輪の他にキラリと光るものを見つけて目を奪われた。


「……綺麗なピアスですね」

思わず文化祭の話から反れて、そんなことを言っていた。

すると先生は指輪を褒められたよりも嬉しそうな顔でピアスにそっと触る。


「ルチルクォーツって石なの」

「……石?」

「私の名前が〝みちる〟だからちょっと似てるでしょ?」


その石は黄金色をしていて、光の屈折によってまた違った色彩を見せる。

……ルチルクォーツ。初めて聞いた言葉だけど、
なんだかストンと胸に落ちるような不思議な感覚。


「実は石がすごく好きで色々な石言葉を調べたり、こうしてアクセサリーを集めたりするのが趣味なんだ」

花言葉みたいに石言葉もあるんだなって感心しつつ、私はピアスを見ながら別のことを考えていた。


気のせいかもしれないけど、この石のピアスどこかで見たような……。


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