はじめて知った世界の色は


「実は姉さんと血の繋がりはなくて、初めて会ったのは俺が小学4年生のとき。母さんが結婚したいと連れてきた今の父さんの連れ子がみちるだった」

〝みちる〟と緑斗が呼んだ唇を見ながらチクリとする痛みを必死で抑えた。


「15歳の中学3年生だったみちるは本当に大人っぽくて。腰を屈めて『これからよろしくね』と笑った顔は今でも覚えてるよ」

「………」

「その時感じた気持ちなんて分からないまま、母さんはみちるの父さんと再婚して俺たちは家族になった」


緑斗は当時を思い出しながら隠さずに色々なことを教えてくれた。


すぐに建て売り物件を買って4人での生活が始まったこと。部屋は先生と隣同士の2階。

思ったよりも早く家族という形になって、緑斗は先生のお父さんを〝父さん〟と呼び、先生は緑斗のお母さんを本当のお母さんのように慕っていた。

〝恋〟というものに気づかないまま生活が続いて、だけど確実に緑斗は先生に恋をしていた。
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