はじめて知った世界の色は


「だから直接姉さんに伝えることもできた。実はずっと好きだったこと。あと結婚おめでとうも言えた。今は普通の仲がいい姉弟だし、翠ちゃんのおかげで自分の気持ちにケジメをつけることができたんだ」


緑斗はちょっと可愛いよりも男らしくなってて、まさかこんなことが起きると思ってなかったから私は髪の毛も適当だし化粧はまだ練習中だし。

悪あがきで前髪を少しだけ直して。それでも見上げた緑斗の顔がカッコいいから本当に本当にズルい……。


「俺、変わったことがいっぱいあって家族を大切にしようとか、学校を楽しもうとか、イヤなことから逃げずに頑張ろうとか。小さなことも大きなことも全部翠ちゃんが教えてくれたことだよ」

会えなかった時間を埋めるように緑斗は色々なことを話してくれた。


緑斗は入院してたせいで高校1年からやり直すことになったこと。本人は「まあ、16歳の12月に事故ってそれから高校2年にもなれてなかったし仕方ないんだけど」て笑ってた。


それでも18歳になった緑斗が私の瞳に映ってる。

それがまだ信じられない。 
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