はじめて知った世界の色は
もしかしたらあれが永遠の別れになっていたかもしれない。それでも緑斗は向き合うことを選んで、私もそれが一番いい選択だと思った。
だから悔しかったんだ。
緑斗が〝またね〟なんて次の約束を勝手にするから、私はその〝またね〟が忘れられずにきみを探してた。
だから緑斗はズルい。
またそういう目で私を見る。
二度と忘れられないような顔で私を見てくる。
「ごめんね。ワガママで自分勝手だけど……目が覚めて一番最初に頭に浮かんだのはやっぱり翠ちゃんのことだった」
胸の鼓動が追いつかないまま、緑斗の右手があの河川敷の時のように伸びてきて。
今度はまっすぐに迷うことなく、その指先が私に触れた。
「翠ちゃん、会いたかった」
そう震える声で言ったあと緑斗は私を抱きしめた。
それは折れちゃうんじゃないかってぐらい強く。