はじめて知った世界の色は
ずっとずっと、きみのことが知りたかった。
ぎゅっと体温を確かめ合えたらどんなに幸せだろう。
その腕の中できみの匂いに包まれながら重なり合えたら、どんなに幸せだろうかと、叶うことのない想いを馳せていた。
私はゆっくりとその大きい背中に手を回して名前を呼ぶ。
「緑斗……っ。私も、私も会いたかった」
緑斗のぬくもりは想像してたものよりずっと熱くて、でも優しい。
きっと交わることなんてないと思ってた緑斗の体温と私の体温。それが重なって、もう離したくないから、失いたくないからさらに抱きしめる力を強くした。
「緑斗……好き」
初めて気持ちを口に出した。
言ってはいけないと思ってたこと。
恋しくて、切なくて、愛しくて。
私はずっと緑斗のことが好きだった。
すると緑斗はそっと私の身体を離して目と目が合った。
「俺も。翠ちゃんが好き」
やっと重なることができた私たちの気持ち。それが嬉しくて、嬉しくて、私はまた泣いてしまった。