はじめて知った世界の色は


季節はもうすぐ7月で夏の匂いがスーッと頬を通りすぎる。こうやって季節は変わっていくというのに私は変わらない。

綺麗な星空を見てもやっぱりどこか置いてけぼりのような気分になってしまう。

そんなことを考えながらチリンチリンとベルの音がして、前方からライトを付けた自転車がやってきた。


「これからアイス食べるとか絶対太っちゃう」
「なんだよ、今さらだろ」
「ちょっとそれどういう意味ー?」

ケタケタと笑いながら二人乗りをしているカップル。

男の子が自転車を漕いで、女の子は愛らしく腰に手を回していた。見てるこっちが恥ずかしくなるほどの密着感だ。


「ラブラブだね。中学生かな」

「……さあ」

なんて、緑斗の問いかけを流す。


今の時代は小学生でも彼氏がいることが普通。

だから深夜だろうと明らかにお互いに部屋着でこのまま泊まりだろ、って雰囲気の中学生カップルが通りすぎても別になにもおかしくはない。

きっとあの子たちから見れば17年間彼氏もいなくて家に引きこもってる私のほうがおかしいんだろうな。

< 21 / 180 >

この作品をシェア

pagetop